
「VPNを使えばPingが下がると聞いたのに、入れたら逆にラグがひどくなった……」
これ、かなり多くのゲーマーが経験していることだ。「DDoS攻撃からIPアドレスを守るためにVPNを入れた」「別のサーバーに繋ぐためにVPNを使った」「友達に勧められてとりあえず入れてみた」。理由は様々でも、結果として「VPNを入れた後のほうがPingが高くなった」「試合中にラグが激しくなった」という経験をした人は少なくない。
この記事では「VPNを入れたらPingが悪化した」という状況の原因を正直に整理する。「VPNがPingを改善する」という情報と「VPNを入れたら悪化した」という現実のギャップを埋めて、正しい理解と改善策を提供したい。
まず正直に言う:VPNは「必ずPingを改善する」ツールではない
VPNに関する記事の多くに「VPNでPingが改善できる」という記述があるが、これには重要な前提条件がある。
「VPNを入れれば必ず速くなる」のではなく、「元の経路が悪い時だけ、速いVPNでショートカットできることがある」と考えるのが現実的だ。
つまりVPNがPingを改善できるのは「ISP(プロバイダー)が用意したルートよりも、VPN経由のルートのほうが最適化されている場合のみ」だ。現在のインターネット環境でこのケースに当てはまることは、思ったより少ない。多くの場合、VPNを入れることでPingは「改善される」のではなく「若干悪化する」のが正直な現実だ。
VPN接続自体が追加の処理(暗号化・VPNサーバー経由の通信)を要求するため、ゼロから余計な処理が加わる。これがPingが悪化する根本的な理由だ。
VPNを入れるとPingが悪化する6つの原因
原因① VPNサーバーを経由することで通信ルートが増える
VPNサーバーを経由することで通信ルートが増え、遅延が発生するというのが、Ping悪化の最も基本的な理由だ。通常の接続では「自分のPC→ゲームサーバー」という2点間の通信が、VPNを使うと「自分のPC→VPNサーバー→ゲームサーバー」という3点間になる。中継地点が増えるぶん、データの往復時間(Ping)が増加する。
原因② VPNサーバーがゲームサーバーから遠い
東京からアメリカの西海岸サーバーに接続した場合、Ping値は110〜180ms程度になると言われている。基本的にこの物理的な距離による遅延はVPN等のツールでも埋めることができない。理由は単純で、今の技術ではデータの通信速度は光の速さを超えることができないためだ。
接続しているVPNサーバーがゲームサーバーから遠い場合、この物理的な距離の問題が二重に発生する。「自分→VPNサーバーの距離」と「VPNサーバー→ゲームサーバーの距離」の合計が、通常接続よりも長くなってしまうことがある。
原因③ プロトコルが重い(OpenVPNがデフォルトになっている)
VPNの「プロトコル(通信規格)」によってPingへの影響が大きく変わる。ゲーミング用途ではWireGuardまたはIKEv2プロトコルを強く推奨する。これらのプロトコルは、パケット処理のオーバーヘッドが少なく、平均15〜25ミリ秒の低遅延を実現できる。OpenVPNは避け、可能な限り軽量なプロトコルを選択してほしい。
VPNアプリのデフォルト設定がOpenVPNになっているケースがある。OpenVPNはセキュリティは高いが処理が重く、Pingへの影響が大きい。WireGuardに変えるだけでPingが大幅に改善することがある。
原因④ VPNサーバーが混雑している
多くのユーザーが集中しているVPNサーバーは、処理能力が追いつかなくなるため通信速度が遅くなる。特に夜のピーク時間帯(20時〜24時)はサーバーが混雑して、Pingが通常より高くなりやすい。VPNアプリが自動接続で選んだサーバーが混雑していることに気づかないまま使い続けているケースも多い。
原因⑤ VPNのルーターやモデムの処理能力低下
VPNのルーターやモデムが長時間稼働していると処理能力が低下するため、遅延が発生することがある。VPNを何時間も繋ぎっぱなしにしている場合、ルーターやデバイスが熱を持って処理速度が落ちていることがある。遅延が発生した場合は、一度電源を切って時間を置いてから再起動してみることをおすすめする。
原因⑥ 品質の低いVPNを使っている
これが根本的な問題であることも多い。無料VPNや格安VPNはサーバーの性能が低く・数が少なく・最適化が不十分なため、Pingへの影響が大きい。品質の高いVPN(NordVPN・ExpressVPN)はゲーミング用途でのPing最小化に特化した最適化を行っていて、適切に設定すれば悪化を最小限に抑えられる。
体験談:「Apex LegendsでVPNを入れたらPingが30msから80msになった」
友達から「VPNを入れればDDoS攻撃を防げるし、Pingも下がる場合がある」と聞いてVPNを入れた。当時のApex Legendsのプレイ環境はPing30ms程度で安定していた。
VPNをオンにしてApexを起動したら、ロビー画面でPingが80msになっていた。「何かの間違いだろう」と思って試合に入ったら、案の定ラグが気になった。敵の動きが若干遅延して見えて、撃ったと思ったら当たっていない感覚がある。
「これは設定が悪いのかな」と思って調べたら、使っていたVPNのデフォルトプロトコルがOpenVPNになっていたとわかった。WireGuardに変えてみたらPingが50ms程度まで下がった。次にVPNサーバーをゲームサーバーの近くにある日本のサーバーに変えたら、40ms前後まで改善した。完全にVPNなしの30msには戻らなかったが、「ゲームに支障が出るレベルではない」という感覚になった。
「VPNを入れれば必ずPingが改善する」という期待が間違っていたのだと気づいた経験だった。正しい設定で使えば悪化を最小限にできるが、VPNなしより速くなることはほとんどないという現実を受け入れた。
「VPNでPingが改善する」という情報はいつ正しいのか
「VPNがPingを下げる」という情報が広まっている理由は、一定の条件下では本当にそうなるケースがあるからだ。正しい状況を理解しておこう。
ケース① ISPによるスロットリングを回避できた場合
ISP(プロバイダー)が特定のゲームサービスへの通信を意図的に制限(スロットリング)している場合、VPNで通信内容を隠すことでその制限を回避できることがある。この場合、VPNを使うことでPingが改善するという現象が起きる。ただしこのケースは、ISPが積極的にスロットリングを行っている状況に限られる。
ケース② VPN経由のルートがより最適化されている場合
ISPの提供する通常のルートより、VPNを経由したルートのほうがゲームサーバーへの経路が短い・安定しているケースがまれにある。この場合はVPNを使うことでPingが下がることがある。ただしこれは例外的なケースで、「元の経路が特に悪い場合」にのみ発生する。
ケース③ 海外のゲームサーバーに繋ぐ場合の地域最適化
Apexのロサンゼルスサーバーでプレイしたいときはアメリカ西海岸のVPNサーバーに、Fortniteの韓国サーバーでプレイしたい場合は韓国のVPNサーバーを使うことで、追加遅延を最小化できるという考え方がある。ただしこの場合も「VPNなしよりPingが低くなる」わけではなく、「VPNを使う場合の最適な設定」という意味だ。
Pingの目安:ゲームの種類ごとに許容できるレベルは違う
| Ping値 | FPS・格闘ゲーム | MOBA・MMO | 一般的な体感 |
|---|---|---|---|
| 20ms以下 | ◎ 理想的 | ◎ 理想的 | 遅延をほぼ感じない |
| 20〜60ms | ○ 快適 | ◎ 十分快適 | ほとんど気にならない |
| 61〜100ms | △ やや遅延あり | ○ 許容範囲 | やや遅延を感じることがある |
| 100ms以上 | ✕ ラグあり | △ ストレスあり | ラグが目立ち対戦には不利 |
| 150ms以上 | ✕ プレイ困難 | ✕ 操作が辛い | 明確な遅延・ゲームにならない |
VPNを使ったときのPingが「+10〜20ms以内に収まるか」が、ゲーム用VPNとして現実的なラインになる。これ以上悪化するようなら、設定の見直しが必要だ。オンラインゲームでは50ミリ秒以上で操作性に影響が出始める。
今すぐ試せるPing改善策:順番に試してほしい
改善策① プロトコルをWireGuard系に変更する(最優先)
VPNアプリの設定画面を開いて、プロトコルをWireGuardまたはIKEv2に変更しよう。WireGuardは基準回線速度の85〜90%を維持し最も高い性能を示していて、接続確立時間も平均1.2秒と高速で、頻繁な接続切り替えが必要な環境に適している。OpenVPNを使っているなら、これだけでPingが10〜20ms改善することがある。
改善策② ゲームサーバーの近くにVPNサーバーを変更する
Apex Legendsの東京サーバーでプレイする場合は日本国内のVPNサーバーを選択する。Fortniteの韓国サーバーでプレイする場合は韓国のVPNサーバーを使用することで、追加遅延を最小化できる。ゲームサーバーの所在地を調べて、最も近いVPNサーバーを手動で選択しよう。
改善策③ VPNサーバーを変えながら複数試す
同じ国のサーバーでも、混雑状況や経路の最適化によってPingが大きく変わることがある。日本サーバーに繋ぐ場合でも、複数のサーバーを試してPingを計測して最も低いものを選ぼう。多くのVPNアプリにはサーバーの「負荷」を表示する機能があるため、負荷が低いサーバーを優先しよう。
改善策④ 有線LANで接続する
Wi-Fi経由での接続はどうしても機器間にある物体や電磁波によって通信が阻害される。有線接続に変えるだけでPingが10〜20ms改善することがある。ゲームにVPNを使う場合は特に有線接続が推奨される。ゲームサーバーへの安定した接続がVPNの効果を最大化するための土台になる。
改善策⑤ デバイスとルーターを再起動する
長時間VPNを繋ぎっぱなしにしていると、デバイスやルーターの処理能力が低下してPingが上がることがある。VPNアプリを終了して、ルーターとデバイスを再起動してから再接続してみよう。特に夜のプレイ時間が長い場合は定期的な再起動が効果的だ。
改善策⑥ VPNをオフにしてPing値を比較する
「VPNのせいでPingが悪化しているのか」「もともとPingが高い環境なのか」を切り分けよう。VPNをオフにした状態でPingを計測して、VPNオン時と比較する。もしVPNオフでも同じくらいPingが高いなら、問題はVPNではなく回線・ルーター・ゲームサーバーの混雑にある。
改善策⑦ スプリットトンネリングでゲームのみVPN対象から外す
「セキュリティのためにVPNを使いたいが、ゲームだけはVPNなしで繋ぎたい」という場合は「スプリットトンネリング」機能が使える。特定のアプリ(ゲームクライアント)だけをVPN対象から除外して、ゲームの通信だけVPNを通さない設定だ。NordVPN・Surfshark・ExpressVPNはいずれもこの機能に対応している。
ゲームに向いているVPN3選:Ping悪化を最小限に抑えるために
【ゲーム用VPN No.1】NordVPN|NordLynxで速度低下2%未満・海外サーバーでも安定
ゲームでVPNを使う場合、NordVPNが最もおすすめしやすい選択肢だ。NordLynxを使って確認したが、遅延を感じることはなかった。海外のサーバーにアクセスした場合でも、速度低下率は2%未満のため快適な通信速度を維持していると言える。ゲーミングにはオーバースペックと言えるほど速度が出ている、という評価が複数のレビューで確認されている。
West Coast Labs VPN Testing Report 2025では、NordVPNが平均817Mbpsを記録して最速VPNとしてランク付けされている。この速度水準はクラウドゲーミングや4K・8Kストリーミングにも対応するレベルだ。スプリットトンネリング機能もあり、ゲームだけVPN対象から外すという設定も簡単にできる。世界111カ国に6,000台以上のサーバーを展開していて、ゲームサーバーの近くのVPNサーバーを選びやすい。30日間の返金保証あり。
NordVPN[公式サイト]【低Ping最優先のゲーマーに】ExpressVPN|平均Ping18msでゲーム用VPN最低Ping
競技シーンのゲームプレイ、特にレイテンシー(遅延)がほとんど許されないオンラインゲームをプレイする方にはExpressVPNが最適だ。ExpressVPNの平均Pingは18msで、検証したゲーム用VPNのなかでPing値が最も低いことが確認されている。
独自プロトコル「Lightway」はVPN接続に1秒もかからない上に2,000程度のコードラインしかない軽量設計で、ゲームのリアルタイム通信への影響を最小化している。アジア太平洋地域のサーバー密度が高く、日本から主要ゲームサーバーへのアクセスで優秀な性能を発揮する。PlayStationやXboxなど、さまざまなプラットフォームにも対応しているため、PCゲームだけでなくコンソールゲームでも使えるのが強みだ。24時間対応の日本語ライブサポートあり。30日間の返金保証あり。
ExpressVPN[公式サイト]【コスパ重視のゲーミングVPNに】Surfshark|台数無制限でPC・スマホ・コンソールを全カバー
「複数のデバイスでゲームをするが、コストを抑えたい」という人にはSurfsharkが向いている。同時接続台数が無制限なので、PC・スマホ・タブレットすべてに入れても追加費用なし。家族や友人と共有することでさらにコストを下げられる。
WireGuardプロトコルに対応していて、ゲームのPing悪化を最小限に抑えられる設計だ。VPNを使っても高速でPing値が低い状態を維持できるとの評価がある。スプリットトンネリング機能でゲームだけをVPN対象から外すことも可能で、「ゲーム中だけVPNをオフにしたい」という人にも対応できる。100カ国以上にサーバーを展開していて、30日間の返金保証あり。
SurfShark[公式サイト]3サービスのゲーミング向けPing比較表
| 項目 | NordVPN | ExpressVPN | Surfshark |
|---|---|---|---|
| ゲーム時の平均Ping | ◎ 低い(速度低下2%未満) | ◎ 平均18ms(最低クラス) | ○ 実用上問題ないレベル |
| 採用プロトコル(ゲーム向き) | ◎ NordLynx(WireGuard系) | ◎ Lightway(超軽量独自) | ◎ WireGuard |
| スプリットトンネリング | ◎ 対応 | ◎ 対応 | ◎ 対応 |
| 接続安定性 | ◎ | ◎ 業界トップ | ○ |
| コンソール対応 | ◎ ルーター経由 | ◎ PS/Xbox/Switch対応 | ○ ルーター経由 |
| 同時接続台数 | 10台 | 8台 | ◎ 無制限 |
| 日本語サポート | △ 英語メイン | ◎ 24時間日本語対応 | △ 英語メイン |
| 価格帯(長期プラン) | ○ 中程度 | △ やや高め | ◎ 最安水準 |
| 返金保証 | ◎ 30日間 | ◎ 30日間 | ◎ 30日間 |
よくある質問
Q. VPNを使えばPingが必ず改善する?
必ずしもそうではない。VPNはPingを改善する場合もあるが、多くのケースでは「若干悪化する」または「ほぼ変わらない」のが現実だ。ISPによるスロットリングがある環境・VPN経由のルートがより最適化されている場合に限り、Pingが改善することがある。正しい設定(WireGuardプロトコル・近距離サーバー)で使えば悪化を最小限に抑えることはできる。
Q. VPNなしのPing30msがVPN使用後に80msになった。改善できる?
50msの悪化は大きい。まずプロトコルをWireGuardに変更することで10〜20ms程度改善できる可能性がある。次にゲームサーバーに最も近い日本サーバーを手動で選択してみよう。それでも50ms改善の余地があるなら、スプリットトンネリングでゲームクライアントをVPN対象から外すという方法が最も根本的な解決策だ。VPNのセキュリティ効果(DDoS保護・IPアドレス保護)だけ享受しながら、ゲームのPingはVPNなしの状態を維持できる。
Q. ゲームのためだけにVPNを使う意味はある?
DDoS攻撃からIPアドレスを守る・別サーバーに接続して友人と遊ぶ・地域限定のゲームにアクセスするという明確な目的があれば意味がある。ただし「Pingを下げるためだけにVPNを使う」という目的には、期待通りの結果が出ないことが多い。前述の通り、VPNはPingを下げるツールではなく、あくまでセキュリティとプライバシーのためのツールだ。
Q. 無料VPNをゲームで使うのはどうか?
ゲームを快適にプレイするためには、高速な通信速度と優れたセキュリティ対策を持つ有料のVPNがおすすめで、無料版VPNには多くのデメリットやリスクがある。無料VPNはサーバー数が少なく混雑しやすく・速度が遅く・セキュリティも不十分なため、Pingへの悪影響が大きい。ゲームにVPNを使うなら有料VPNを選ぼう。
まとめ:VPNはPingを「下げるツール」ではなく「悪化を最小限にするもの」として使う
VPNを入れてPingが悪化したのは、VPNが設計上避けられない追加の処理を要求するからだ。「VPNを入れれば必ずPingが下がる」という期待は、多くの場合正しくない。
VPN使用時のPingを最小限にするために重要なのは、プロトコルをWireGuard系に変更する・ゲームサーバーに近いVPNサーバーを手動で選ぶ・スプリットトンネリングでゲームだけをVPN対象外にするという3つの設定だ。
VPNがゲームに本当に役立つのは、DDoS攻撃からIPアドレスを守る・別サーバーに繋ぐ・地域制限を回避するという用途だ。この目的に合っているなら、速度低下2%未満のNordVPN、平均Ping18msで最低遅延のExpressVPN、コスパと台数無制限のSurfsharkがゲーム用途の現実的な選択肢だ。いずれも30日間の返金保証があるので、Pingへの影響を実際に計測してから判断できる。最終的な選択はご自身でお願いしたい。
※本記事で紹介しているVPNのPingデータは複数の独立したレビュー機関の実測値を参考にした目安値です。実際のPing値は使用環境・接続サーバー・ゲームタイトル・時間帯によって大きく変動します。VPNサービスの料金・仕様は変更される可能性があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。


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